日常点検のすすめ
どんな種類の整備でも、トラクターと作業機の性能と信頼性に重要な役割を担っています。
トラクターを使用する際には、日常点検が不可欠であり、トラクターに必要な整備のタイミングを判断するのに役立ちます。
また、トラクターの日常点検を実施することで大きなトラブルを予防することができます。
トラクターの主な日常点検項目は以下の通りですが、点検に際しては、エンジンを停止して、駐車ブレーキをかけて、車輪止めをしてから順番に点検してください。
定期点検整備
- サイドボンネットを開けて
- 1. エンジンオイル量の点検
- 2. ファンベルトの状態の点検
- 3. ラジエーター冷却水の量の点検
- トラクター前方より
- 4. 前照灯レンズの汚れの点検
- 5. 車幅灯レンズの汚れの点検
- 6. フロントタイヤ空気圧と亀裂の点検
- トラクター後方より
- 7. 尾灯・制動灯レンズの汚れの点検
- 8. 小特プレートの汚れの点検
- 9. リヤタイヤ空気圧と亀裂の点検
- 運転席に座りエンジンを始動して
- 10. ハンドルの遊びを点検
- 11. 計器関係の作動を点検
- 12. 灯火類の作動を点検
- 13. ワイパーの作動を点検
- 14. ウィンドウォッシャーの作動を点検
- 15. 警音器の作動を点検
- 16. ブレーキペダルの踏みしろの点検
- 17. 駐車ブレーキの引きしろの点検
- 18. バックミラーの作用と写り具合の点検
- トラクター下部(エンジンアイドリング状態)
- 19. 水・オイル漏れの点検
- 20.ハンドル操作と振れを点検
- 21.ブレーキの効きを点検
- 22.クラッチの切れを点検
- 23.車体より異音、振動がないかを点検
エアフィルターの清掃
エアフィルターの役目
エアフィルターはトラクターに使用される空気から不純物を取除くためにあります。
粉塵の多い作業の後や警告灯(左図)が点灯した時などにまめに清掃しましょう。
メンテナンス
- 1.ボンネットを開き、エンドカバーのクリップを外してメイン・フィルター・エレメントを引き出します。(写真1)
- 2.引き抜いたエレメントを普通の汚れは手で軽く叩いて落として下さい。
また、圧縮エアーを吹き付ける場合は規定の圧力フィルターの内側から外側に向けエアーを吹き付けます。(写真2)この時、フィルターを硬い面などに叩きつけるとフィルターの損傷や変形の原因となりますのでこのような方法で清掃しないで下さい。(写真3)
- 3.フィルターケース内部を毛ばだっていない布で拭い、ケース、フィルター共に取り付け部のパッキン、シール、リングが正しく取り付いているか、破損がないか確認してください。この時、フィルター内部を懐中電灯で照らすと本体の損傷を調べることが出来ます。
- 4.清掃が終了したらエレメントを注意深くケースに差込んでください。エンドカバーを取り付ければ自動的にエレメントは正しい位置に収まります。
キャブフィルターの清掃
キャブフィルターの役目
キャブフィルターはトラクターキャブのブロワに取り込まれる空気から塵やごみを取り除くためにあります。粉塵の多い作業の後などにまめに清掃しましょう。
メンテナンス
1.工具を使用して、キャブルーフのカバーを取り外して、キャブ・フィルター・エレメントを引き出します。MF5400/6400/7400シリーズトラクターでは、キャブ・フィルター・エレメントを引き出すのに、工具は必要ありません。(写真1)
2.引き抜いたエレメントを普通の汚れは手で軽く叩いて落として下さい。また、圧縮エアーを吹き付ける場合は規定の圧力でフィルターの内側から外側に向けエアーを吹き付けます。
3.フィルターケース内部の破損がないか確認してください
バッテリーの点検
バッテリーの役目
充電式電池のことでエンジンの始動やライト等の電気装置に電気を供給するものです。また発電機(オルタネーター)が作った電気を蓄える装置です。
点検のための基礎知識
使用期限が切れたバッテリーを使用し続けますと、始動不能などバッテリーあがりの状態に陥ります。バッテリー自体の寿命がくると、充電しても比重が上がらなく、始動時の電圧低下になります。
点検方法
注意:弊社の推奨販売しているDelco(デルコ)バッテリーは、メンテナンスフリーのバッテリーです。メンテナンスフリーのバッテリーは補充液を補充する必要はありません。一般的にバッテリーの寿命は2〜4年が目安となります。
バッテリー交換をご依頼される場合には、お近くの弊社支店/営業所にお申し付けください。
クーラント(冷却水)の点検
クーラントの役目
クーラントはエンジンを冷却するラジエーターの中に入っているもので、冷却能力や防錆能力を長期間維持します。成分はエチレングリコールです。
点検のための基礎知識
クーラント不足や劣化したクーラントをそのまま使用しますと、防錆能力が低下しラジエーターやエンジン内部の水管を腐食し、水漏れが発生し、オーバーヒートの原因となります。
点検方法
1.トラクターを平坦な場所に駐車して、リザーバータンクからクーラントが適量か点検します。(写真1)
エンジンオイルの点検
エンジンオイルの役目
エンジン内部の摩擦部分にオイルで膜をはり、エンジンのピストンが滑らかに動くようにする潤滑油です。
点検のための基礎知識
オイルは使用に応じて徐々に減少します。オイル量が少ない状態で使用するとエンジン内の適正な油圧が得られず、焼付きを起こす原因となります。また、劣化したオイルを使用し続けると本来の性能を発揮できなくなるだけでなく、エンジン内にスラッジ(内部に発生する鉄粉)が発生し、エンジン内部の磨耗を促進させます。
点検方法
ミッションオイルの点検
ミッションオイルの役目
ミッション内部の摩擦部分にオイルで膜をはり、ミッション内のギヤが滑らかに動くようにする潤滑油です。
エンジンオイル同様に、ミッションオイルは使用に応じて徐々に減少します。オイル量が少ない状態で使用すると内部の適正な油圧が得られず、焼付きを起こす原因となります。また、劣化したオイルを使用し続けると本来の性能を発揮できなくなるだけでなく、ミッション内にスラッジが発生し、内部の磨耗を促進させます。
点検方法
トラクターオイル容量
オイル交換を行う上で、オイル容量は、正確に把握していなければなりません。
トラクターの型式によってオイル容量は異なります。オイル交換をご自分でなさる場合には、弊社推奨オイルで適量のオイルを注油して下さい。
オイルの容量は取扱説明書又は、トラクターオイル量一覧をご参照下さい。
エム・エス・ケー農業機械(株)はお客様のトラクターや農業機械の日常点検を支援します
タイヤの点検
タイヤの役目
タイヤは走行や作業を行う上でなくてはならないアイテムの1つです。
走る、止まるといった動作は、タイヤがなければ成り立ちません。
点検のための基礎知識
意外とタイヤに関しては無頓着なものです。空気圧が低すぎたり、高すぎると損傷の原因となったり、燃費が悪くなり、最高のパフォーマンスを発揮できません。
点検方法
注意:タイヤサイズやタイヤの種類によって空気圧は異なります。適切な空気圧を維持してください。
タイヤ交換をご依頼される場合には、お近くの弊社支店/営業所にお申し付けください。
作業機の日常点検
作業機をトラクターの3点リンクに取りつけた状態で点検する場合は、作業機の落下を防止するたに角材等の落下防止策を使用して下さい。
点検項目
1.作業機部品(爪やタイン)の摩耗
2.PTOジョイントカバーの破損
3.オイルが漏れていないか
4.カバー類が破損していないか
注意:点検と同時に清掃やグリスアップも実施することをお勧めします。