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PROJECT STORY 01
GPS自動操舵装置普及の取り組み。

本社 営業推進部 営業推進チーム:木島 真人

はじめはだれも信じてくれませんでした。

畑を効率よく整地・播種・収穫するためには、常に一定の幅でトラクターをまっすぐに操舵しなければなりません。これにはある程度の経験と技術が必要です。GPS自動操舵装置というのは、人工衛星を利用して、トラクターの位置をトラッキングし、圃場に合わせて効率よく運転できるように支援する技術です。導入すれば、作業時間の大幅な短縮や、精神的負担の軽減など様々なメリットのある技術です。そこで、是非この技術を普及させたいと思い、お客様にお勧めしていきました。

メリットの部分をもう少し詳しく教えてもらえますか?

農業は、季節に合わせて作業を行うため、どの作業にも『適期』が存在します。平たく言うと、ピンポイントでこの日までに、あるいはこの日に作業をしたほうがよいという日が存在するわけです。しかし、自然との闘いでもあるので、すんなりと人間の思い通りに作業ができるものではありません。天候の不順などで、作業を予定していた日が悪天候だったり、視界不良だったりする場合、トラクターをまっすぐに走らせるだけでかなりの重労働となってしまいます。けれども、GPS自動操舵装置を利用すれば、たとえ視界不良で前が見えにくい状態であっても、GPS情報が運転をアシストするため、それぞれの作業を正確に実施することができるのです。よって『悪天候だから作業先送り』といったような判断をする必要がなくなり、適期作業が可能になります。

なるほど。それは農家さんにとってはとても助かりますね。

それだけではありません。例えば、圃場の規模を拡大したため、トラクター運転経験が浅い方に作業をお願いしなければならなくなったというような状況でも、経験豊富な方の作業と遜色の無い走行が可能になるため、作業効率を落とすことがありませんし、何より作業者の精神的負担が軽減されます。また、整地作業では、間を飛ばして作業が可能なため、枕地での旋回時に切り返しが不要となるので効率化が見込まれます。さらに、収穫作業が重なる時期などには、昼間に収穫作業や播種作業を、夜は自動操舵トラクターでリラックスしながら整地作業といったように、体を休めつつ畑を仕上げることが出来ます。他にも沢山いいことがありますが、ご紹介はこれくらいにしておきます(笑)

効率化っていうのは、精神的にも体力的にもとても良い方向に働くということですね。

そうです。空いた時間で、家族団らんの時間をとることが出来たと仰るお客様もいらっしゃいます。農家さんの生活を助ける、非常に優秀な機械だと思っています。

効率化とは、農家さんのワークライフバランスを考えることです

でも、はじめは皆さん導入に消極的だったと聞きます。

その当時一般的に知られていたGPS操舵装置は、どんなに頑張っても誤差を5センチまでしか縮めることが出来ませんでしたから。

5センチでもすごいことだと思いますけどね。

広大な農地を管理している方になると、5センチが積もり積もって、大きなロスになるんです。なので、もう少し誤差の範囲が小さくならなければ仕事で利用できるものではないというのが農家さんの本音でした。しかし、私が導入を勧めていたGPS操舵装置は非常に優秀で、走行しながら調整できるため、セッティングの正誤がわかり易く、制御できる作業速度域も広いことや、精度も圃場条件によりますが2〜3cmの誤差で安定していること、さらに設定を追い込んでいけば、ほぼ誤差のない正確さで操舵可能なことなど、ご使用される方の期待に充分にお応えできる機械なのです。

そんなに正確に動くものなんですか?

まさに、農家さんの反応がそれでした(笑)ケータイ電話やカーナビでGPS機能についてある程度の知識がある時代ですので、経験上正確に測位するのは難しいと感じるようで、私の話を信じてくれる人はあまり多く居ませんでした。しかし、これは忙しい農家さんのために必ずプラスになると確信していましたので、少しでも多く普及させ、働き過ぎのみなさんに、体を休めて頂きたいという使命感のようなものが芽生えていました。

GPSの誤差は、みなさんが想像する以上の精度なんです

では、皆さんに信じてもらうためにどんな取り組みをされたんですか?

やはり、実際にどのように動くのかを見ていただくのが最も効果的な方法です。圃場にお邪魔して、GPS操舵装置を取り付けたトラクターを走らせました。でも、実際のところ、横からトラクターが走る姿を見ていても、本当に真っすぐ走っているのかってわかりにくいものなんですよね。それで、上長に直談判してドローンを購入してもらいました。自動操舵中に直上に上げたドローンからの真俯瞰映像で、トラクターが正確に直進している様子が映し出されると、見ていた農家さんたちは驚きに包まれましたね。とくに、青年部の講習会に招待してもらいプレゼンさせて頂いたことや、真冬にお客様が、ご自身の畑に試乗用のコースを設営してくださり、試乗会を開催して頂いたことで、一気にその地域の若い農家さんたちに噂が広がり、普及が加速しました。また、スマートフォンに馴染みの無い、昔のお兄様方がご友人同士で、RTKアプリの使用方法を教え合い、奥様も巻き込んで操作を習熟していく姿には、非常におこがましい言い方なってしまいますが、「自分で見つけたゲームの裏技を自慢し合う少年達」の様な微笑ましさがありました。

大成功ですね。

そうでもありません。そこまでの間には涙なくして語れないエピソードがあるんです。

お聞きしましょう。

実際に普及が加速したのは、精度の高い圃場作業が披露できるようになってからの話です。はじめのうちは、導入している農家さんが居なかったため、実際の圃場でのデータが乏しく、説得力のあるプレゼンが出来ませんでした。その中で、沢山の農家さんに導入をお勧めしても、やはり、ほとんどのお客様から相手にしてもらえませんでした。しかし、私を信じ機材を購入して、一緒にデータを取っていこうと言ってくださったお客様が数名いらっしゃいました。私から見るとまさに「神」ですね。本当にありがたいことです。とにかく、そのお客様たちのためにも、必ずまっすぐ走らせる、誤差を最小限にすると誓い、必死でセッティングを研究しました。

信じて初期に導入してくださったお客様には、感謝してもしきれません

具体的にどんな取り組みをしたんですか?

とにかく、時間を作って早朝・夕方・深夜など、あらゆる時間帯にトラクターに乗りデータを収集しました。お客様が厳しい条件の畑で作業されるときには電話を下さり、一緒にセッティングを考えたり、牧草地を自由に走らせていただきデータを取ったりと、農家さんの協力なくしてはすべての作業が出来ませんでした。さらに、農家さんたちはご自身でセッティングを試行錯誤してくださり、誤差を縮めるため腐心してくださいました。あるお客様から「誤差2mmまで精度を高く出来たよ!みにくるかい?」と言われた時は、流石にびっくりしましたね。お互いに無線で連絡を取り合ってセッティングを共有したり、異なる基地局のテストを行ってくださったりと、現在導入の際に設定している基本的なセッティングは、初期にご協力くださった農家さんたちと一緒に作り上げたものだと考えています。

初期に導入してくださったお客様には本当に感謝できますね。

はい。実際に普及フェーズに入ると、多くのお客様の初動日が重なるという事態が訪れました。私たち販売員も、事前に圃場をお借りして知識を取得するための合宿を行い、技術・物流・管理部門のみなさんが協力してくれたおかげで、万全の支援体制だったのですが、それでも手が回らない場面がありました。そんな時、初期に導入してくださった『GPS操舵装置エキスパート』のお客様たちが、「忙しそうだから、近所で初めて使う人のセッティングを見に行ってあげるよ」と言って、助けてくださいました。本当に感動しましたね。なんとか無事すべての機器を稼働させることが出来て、多くの「ありがとう」を頂きました。しかしこれは、私たちだけでなく、ご協力いただいた農家さんたちや、情報の連携を取るために積極的に動いてくださったホクレンさんや各JAの担当者様を含めたチーム全体への言葉だと思っています。

導入したお客様の声を少し教えていただけますか?

「いつもより1−2列多く播種出来たよ」
「こんなにまっすぐ走るんだ!夜でも、霧でも作業できるからありがたい!」
「苦痛だったトレンチャー作業がとっても楽になった」
「芋がまっすぐ植付け出来ているから、管理作業が楽になった」
「超微低速でも使えるから、長芋の収穫作業にも使える」
どれも、嬉しい言葉です。まだまだありますがこれくらいに。

このプロジェクトを経て、思うこと。

どんなに難易度の高い挑戦でも、動機が「誰かのため」であれば、いつか必ず同士が現れ、協力者が集まり、支援の体制が整い、応援の声をいただける。だから、これからもお客様のためになることを積極的に推進していこうと強く決意しました。結果として、お客様に喜んでいただけましたし、会社としても販売台数が伸びました。私たちの仕事は農家さんの仕事を支えるところにお客様が対価を払う価値があるのであって、農機を売ることが目的になってはいけないと改めて思いました。

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