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酪農を、決して
衰退させない

PROJECT STORY 06
未来を見据えた農機の提案。

十勝支社 東部営業所 営業所長:K.O

酪農と農業機械は切り離せません

ある酪農家さんから「“大きな”トラクターがほしい」との連絡を受けました。酪農家さんにとって、トラクターはなくてはならないツールですから、増車の相談を受けることはしばしばありますが、この度は雰囲気が違うなと、直感で感じました。「“大きな”」という言葉に引っかかったんです。

基本的な質問をしていいですか?酪農家さんって、乳牛を飼育している方たちですよね?トラクターというより、牛舎で搾乳しているイメージが先行するのですが。

確かに、一般的なイメージでは、牛舎の中で給餌したり、搾乳したりするのが酪農家さんの仕事ですよね。もちろんそれも重要な仕事なのですが、より大変で大切な仕事が、畑で牛たちの餌を作ることなんです。

餌って、買うんじゃないんですか?

もちろん、牧草のロールを購入する酪農家さんもいらっしゃいますが、多くの酪農家さんはご自身で大きな圃場を持っていて、牧草やデントコーンなどの飼料をご自身で生産なさっています。というのも、牛たちは、一日に青草で50kg以上、乾燥した草でも15kgほどを食べる大食漢なんです。沢山の牛を飼っている酪農家さんにとっては、餌にかかるコストも馬鹿になりません。自給すれば購入する場合の約半分くらいのコストに抑えることが出来るんです。

良質な餌が、商品価値に繋がります

それは確かに自給したほうが良いですね。でもとても手間な気もしますが。

後ほどお話しますが、それはそれは手間のかかる仕事です。でも、酪農家の方が自給を選ぶ理由はコスト以外にもあります。牛が作る乳は、健康であればあるほど、量も質も高くなります。つまり品質の高い商品が出来るというわけです。じゃあ、どうやって健康を保つのか。美味しくて栄養価の高いごはんを食べることによってです。とりわけ、毎年6月中旬ごろから収穫を開始する「1番牧草」は一年のうち最も栄養価の高い牧草といわれています。その年の乳量や品質が決まるとさえ言われているこの牧草を刈るために、酪農家さんはありとあらゆるリソースを注ぎ込みます。

商品価値の最大化のために、自ら餌を作っているというわけですか。とても興味深いですね

そうです。酪農家さんの仕事は、通常でもかなり過密なスケジュールです。例えば家族経営の酪農家さんの場合、朝と夕に二回の搾乳を行います。それ以外にも牛舎の清掃や牛のケア、餌やりなどの仕事、タンクローリーへの出荷もあります。一日の大半の時間働いていなければなりません。それに加えての、畑仕事です。

それだけでほとんどの時間が終わりませんか?いつ畑で働くんですか?

そこなんです。牧草を育成する仕事は、通常のルーティンワークのスキマ時間に行わざるを得ません。なので、どれだけスピーディーに、効率よく出来るかという課題といつも向き合っているわけなんです。

日常のコミュニケーションが、将来を見据えた提案を生みます

話が繋がりました。それでトラクターを使う必要があるわけなんですね。

そのとおりです。なかでも農機の作業効率が大きく影響するのが収穫です。刈り取り・撹拌・乾燥・集草・収穫・発酵と様々な工程のどれも、使用する作業機が異なります。それぞれがアタッチメントになっているので、多くの酪農家さんは、効率化のため複数台のトラクターを用意して、それぞれの作業機を割り当てて作業しています。さらに、天候との闘いもあります。どんなに良い牧草を収穫しても、雨に濡れてしまうと品質が著しく落ちてしまいます。そう考えると、収穫に当てられる時間は非常に限られていることがわかると思います。短い時間で広大な圃場を回るだけのリソースが必要となるわけです。

そのための私たちというわけですね。

そうです。時間との闘いのなかでは機械の信頼性が最も大切になります。明日雨が降るかもしれないから、今日中になんとしても収穫を終えなければいけないという状況で、もし農機が動かなくなってしまったら。それだけで、酪農家さんの一年の売上に大きな損害を与えかねないわけです。ですから、酪農家さんは、農機をアフターメンテナンスのクオリティまでを含めて非常にシビアに選ばれるんです。

今回お話いただいている酪農家さんは、“大きな”トラクターを希望されていましたね。

先程お話したとおり、効率化のために『増車』のご相談を受けることは珍しいことでは有りません。でも、この度のお客様は様子が違いました。詳しくお話を伺うと、これまでずっと二人三脚でやってきた農作業好きのお父様が急に体調を崩されてしまい、これから先は自分ひとりでやっていかなければならないという、深刻な内容でした。

それは、大変なことですね。これほどの作業量を一人でと考えると、途方に暮れてしまいます。

普通はそうなると思います。でもそのお客様は、これを新たな機会と捉え、作業形態を大きく見直して経営基盤を確立し、圃場面積を拡大していきたいという夢を語ってくださいました。とてもポジティブなご相談だったんです。

スケールアップのタイミングは、タイムリーであることが重要

経営ビジョンを共有してくださったんですね。非常に嬉しいご相談ですね。

そうです。私たちの仕事は、単なるトラクターや作業機を販売する営業ではありません。大型農機を扱っている以上、そこには必ず「効率化」や「スケールアップ」といった未来に向けての課題を解決したいという願いがあります。酪農家さんたちが購入するもの、それは私たちの農機ではなく、農機を使って得られる『時間』や『品質』といった価値なんです。酪農家さんは私たちの機械にいわば『投資』してくださるわけですから、その期待に応えることができるように、その時々にぴったりと合った提案をしていかなければならないと考えています。今回のお客様の場合には、計画的に規模を拡大されるということでしたので、手始めに一人で多くの作業ができるよう、200馬力のトラクターとフロントモアコンを購入していただきました。継続的に計画達成のための提案をすることで、伴走しています。

お客様の計画に合わせて、タイムリーな提案をしていくというわけですね。

はい。私たちが売りたい時に、売りたいものを提案するのではなく、お客様にとって最適なタイミングで『増車』や『大型化』の提案をします。私たちの機械を無駄なく導入してくださることにより、お客様の利益が最大化されれば、それをサポートする私たちの評価も上がり、自ずと売上も上がります。そう考えて行動することで、お互いに最良の結果を生むことが出来るというわけです。今回のお客様の場合は、それ以降あらゆるご相談を頂ける間柄となりました。ときには知人のお悩みも私にご相談くださり、新しいお客様として迎えることにもなりました。現在でもその良好な関係は続いています。先日ついに念願だった、自走式ハーベスターを購入され、作業能率の大幅なアップを果たされました。これには私も本当に嬉しい気持ちでいっぱいになりましたね。

お客様の利益を考えることが、巡って会社の利益になる

酪農という仕事はいわば24h365日休みが無く、とても骨の折れる仕事です。厳しい仕事であるが故に、経営を引き継いでくれる後継者を確保するのも難しく、疲弊する酪農家さんが増えているのも現状です。とはいえ、我々の食を支えている酪農業を衰退させるわけにはいきません。私たちのもつ効率化のノウハウと、実績のある収穫機を始めとした大型農機で、酪農家さんの負担を軽減していきたいと考えています。これからも、機械化・大規模化のタイムリーな提案をすることで、酪農とその担い手のサスティナビリティへ貢献していければと思います。



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